熊手かき

読書好きの日常

『隣人の愛を知れ』が優しかった

 恋愛小説は基本読まない。なんでも読む系だけど、恋愛小説だけは別。なんかそそられない。そんなわたしがたまたま手に取った本が『隣人の愛を知れ』だった。理由はない。本の裏を見て気になったから買ってみた。

 読んでみたら面白かった。心が温かくなった。最初バラバラだった登場人物が少しずつ繋がっていき、閉じていく話。優しいんですよ。みんな、自分なりの正義というか、想いがあって。淡白に見える青子にだってきちんと想いがある。

 愛情はわからない。愛なんて簡単に言うけど、本当のところはわからないものだ。でも、信じることはできる。信じてるんだと思う、お互いを。夫婦であろうと、不倫であろうと、親子であろうと。美智子だって、結局純哉のことを信じてた。信じたから離婚するんだ。ずっと歪であった関係。親として繋がっていた関係が、信頼に変わる。純哉を信じたから、離婚を決意した。あの2人の関係をより良くするため。ひかりだって、知歌だって、信じる気持ちを知って変わった。大切なのは信じる気持ち。愛情を信じる気持ちだ。

 わたしはヨウが好きだ。1番強く信じてる人。大切なことを知っている人。だから、青子に教えることができた。ヨウだからこそ。そのヨウが最後にあの人と会ったのはでかいよねって思う。1番辛かったあの人がヨウに教わったことは大きいと思う。間接的に美智子もまたヨウに教わってる。ヨウは信じる力の強い人だ。そうなった理由もあるけど、もともとそうだったんだろうな。

 恋愛小説は好きじゃない。でも、この本はまた読みたいと思う。心を優しく包み込んでくれる。そんな本だから。大切な気持ちを教えてくれる。そんな本だから。好きな本がまた増えた。