熊手かき

読書好きの日常

視覚に訴えるもの 「キャリー(76年版)

 ずっと観たいと思っていたのですが、ホラー苦手な自分はなかなか手が出せず。4月にイマジカBSで13年版が放送されるので見比べたいと思いとうとう観てみました。

 冴えない高校生キャリーはクラスの女子から虐めを受けている。初潮を迎えた彼女に母親は罪の印だと罰を与えた。クラスの女子はキャリーを虐めた罰として放課後に補習を受けることになるがそれに納得できないとある少女はキャリーに報復をしようとする。一方、キャリーに悪いことをしたと思ったスーは自分をプロムに誘った男子にキャリーを誘って欲しいと頼むのだった。最初は断るキャリー。だが、先生の勧めもあり自分を変えようとプロムに参加するのだが、それが悪夢の始まりだった。

 正直に言ってどうしてあそこまで人を嫌いになれるのかわからない。キャリーが何をしたというんだろう。彼女の母親には問題がある、それは明らかだ。でもキャリーには何の罪もない。なぜあそこまでできるのか、私には理解ができない。もしスーが先生ともう少しでもいい関係を結べていたらあんなことにはならなかったはずだ。まぁ、スーの心変わりの訳もいまいちわからないけど…。でも、あの母親を見た後にキャリーを見たら多少の同情はするのかもしれない。

 キャリーの力は初潮を迎えた女性の不安定な精神性を表すのですかね?それとも、それまで母親に抑圧されてきた精神が大人になったことで解放されつつあるという反抗心の表れか。母親がキリストと同じように刺されたのも暗示なんでしょうね。キャリーにとって母親はキリストと同じく一度死んで、自分を受け入れる母親として蘇って欲しい。そういう願望もあったのかな。でも、母親は一度は生まれたキャリーをキリストに差し出す、殺そうとしたということでしょう?それとももう少しまろやかに修道院にでも入れるつもりだったか。どちらにしろ愛情を持っていたとは思いがたい。受難としてキャリーを受け入れたとしか思えない。かわいそうなキャリー。彼女は何も悪くないのに。彼女に与えられた受難を受け入れようとしたキャリーに現れた奇跡が彼女を決定的に孤独にした。それとも奇跡こそが受難だったのかもしれない。私にはわかりません。

 13年度版は親子関係に力が入った作品だと聞いた。違う側面のキャリーが観られるのが楽しみです。

ちなみに、旧版のDVDがAmazonになかったので原作貼り付けます。

 

キャリー (新潮文庫)

キャリー (新潮文庫)