熊手かき

読書好きの日常

『消えない月』を読んだらモヤモヤが止まらない

 ストーカー被害にあったことがない。会った人も知らない。だから、どこか遠くの世界の話だった、この本を読むまでは。『消えない月』を読んでひたすら気持ち悪いと思った。なんでこういう思考になるのか分からない。他人のことがわからないのだろうか?そうじゃない、自分の気持ちに固執しすぎているんだろう。

 最後まで読めば加害者が少し理解できる。でもそれまでは全くわからない。さくらと同じでひたすら怖いしかない。同情する余地はあるのかもしれない。与えられなかった愛情、承認、温かさをひたすら求めただけなのだから。でも、それだからって許されることではない。人間はここまで固着できるのかと思うと恐ろしい。執念というか。でも、人を理解しようという概念はない。自分の中の相手に固着しているというか。

 自分の知っている世界が全てだと思うしかない人生だったんだろう。人の親として読んでみるとどう育ててあげればいいかのお手本になるかもしれない。こんな風にたっくんを育ててはいけない。強く思った。環境だろうか?もし松原さんが穏やかな家族に育てられていたら、こうならなかっただろうか?わからない。環境だけとも言い切れない気がする。元々持っているものと環境が合わさってこうなったという気がする。拍車はかけただろうけど。

 印象的なのは松原さんがサイコパス診断の話をしているところ。どう考えてもあなたの方がおかしいです!と言いたくなる。

 この本は1人で抱えられない。でも、きっとまた読んでしまうと思う。強烈な読後感。ダメ元で旦那に勧めてみようかな?