熊手かき

読書好きの日常

ペット・セマタリー観てから読みました

 はっきり言って今回は失敗だった。読んでから観ればよかったと切実に思った。キング脚本だから当たり前かもしれないけど、原作通りに話が進んでいた。もちろん、違うところもあるけれど、大筋は変わらない。大切な想像物語が映画に寄せられていく。『シャイニング』の時のドキドキ感が半減してしまった。あれは原作と別物だから観てからでも良かったんだ、残念。

 でも、後半入っていきなりゲージが死んでいるのには悲しみしかなかった。私も幼児持ちだから見に染みてくる。届かなかった数センチの距離に辛くなる。死はいつも生と隣り合わせ。その恐ろしさが迫ってくる。さすがキング。下巻は読まされました。

 ルイスはいつから囚われていたんだろう?パスコーの死から?でも、パスコーはすでにルイスが囚われるのを知っていた。引っ越してきた時から?ルイスは失うために引っ越してきたと言うのか?そんな悲しい話があるんだろうか。それとも、生き返らせてしまうほどの深い愛情をルイスが持っていたから?ラドロウに長く住んでいたとしたらルイスはこうはならなかったはず。やっぱりルイスは絡め取られる運命だったんだろうか?考えれば考えるほど悲しい物語。

 前半ののんびりとした愛情深い物語からここまで残酷に落とすのはさすがキング。その落差が絶望を生む。ホラーというより1人の男の逃れられない人生を読んだ気がする。あんなに幸せだった男が1つの禍々しい場所に絡め取られて沈んでいく様は『シャイニング』の比じゃない。あれは純粋なホラーだけどこの本はホラーじゃない。悲しい。ひたすら悲しい物語。

 この作品は絶対に読んでから観てください。