熊手かき

読書好きの日常

書を読むということ「福岡伸一、西田哲学を読む」

 

 

 田舎に帰ったとある日。近くに何か観光できるところはないかと調べてみた。ちょっと距離はあるけど発見したのが「西田幾多郎記念哲学館」。西田幾多郎、誰それ?哲学者なんだよね?それが西田幾多郎との出会いだった。それから十数年、わたしは西田幾多郎の本を買ったけれど積ん読して来た。同郷ということで買うんだけれど、難しいと聞いて読み始められず、積まれて行く本。そんな中、この本を発見しました。福岡伸一さんと阿川佐和子さんの対談を少し読んで面白かったから、さぞ面白んだろうと思って。

 

 西田哲学と福岡伸一さんの動的平衡を絡めた対談本です。西田哲学序章、さらに深める、西田哲学の「逆限定」について深く話す、福岡伸一さんが実際に西田哲学を読んで話す、動的平衡と絶対矛盾的自己同一の時間論、西田哲学を現在に生かすとしたら、動的平衡をさらにみてみる。以上7編からなる対談本です。

 

 率直にいうとまぁ、難しかった。西田哲学の引用なんて読んでるだけで泥沼にはまるみたいでした。わかるようでわからなくて「なんなんだ?」と立ち止まる。読むのに相当の集中力がいります。対談相手の池田善昭さんは西田哲学の人なので、わかった!と思った次の瞬間には「あれ?」と不安にさせられたりして。この本の中に「学びは1つを突き抜けて初めて見える景色があって、そこに次の学びがある」という部分があるのですが、突きつけてないわたしには見えない景色ですか?と何度も問いただしたくなるほど難しい。動的平衡は完全に把握しましたが、西田哲学は動的平衡と対応する形でなんとか理解するのが精一杯。自分の学の無さに愕然としました。

 

 でも、面白いです。哲学者と科学者が同じ言葉で話せるんだというところはすごく興味深い。普通に通じあってるよ!って驚かされました。知の統一がこれからの学問には必要になってくるそうで、そういう意味ではこの本は分かりやすくそれを示してくれました。

 

 この本を読んで西田哲学のエッセンスは理解しましたが、ではより進めるために積読本を読むかというと自信がない。もし読むとしたら、この本と並行して読まないといけない気がします。そういう意味では、西田哲学入門書としては最適なのかもしれません。なにより福岡伸一さんが翻訳してくれるから!この本を読んでもっと勉強しよう、もっと本を読もうと思いました。わたしも次の学びを発見してみたいから。この本は再び挑戦するつもりです。その時は、中身がスルスル入って来ますように!