熊手かき

読書好きの日常

百円で時間と夢を買う

 小さい時父親が連れて言ってくれて場所、それは競艇場!百円払って中でボートレースに一攫千金の夢をかける場所。だが子供のわたしにとってはそんな場所ではない。ただでお菓子やグッズをくれる場所なのだ!今は知らない。でも、わたしが子供の時はレゴのおもちゃがついたお菓子や当地のゆるキャラのクジラグッズを子供に配ってくれていた。父親が100円払えばもらえるなんてなんて素敵な場所。

 子供のわたしには正直そこが公営ギャンブル施設だなんてわからないから、入ってすぐに見える託児施設の遊具を見て「あそこに行きたい!」とねだった。でも父親曰く「あそこは別料金だからダメだ!」と。子供ながらにもうねだったらいけないんだなって思って1度しかお願いしなかった。その競艇場は昔は区の花火大会の会場でもあった。今から考えるととんでもない街中で打ち上げてたな〜と驚きですが、そのときだけフランクフルトや焼きそばが買ってもらえて。もちろん、その時は無料開放してます。今も区の行事の時にはヒーローショーをやったり、無料開放はしてます。でも、わたしは有料の何も買ってもらえない、ただただボートを見るだけの日の方が好きだったな〜。

 大人になって、メンタルを壊した時父親は再びわたしを競艇場に連れて来た。周りみんなおっさん、おばさん。しかも何故か綺麗な人は少ない。いかにも公営ギャンブル場。でも不思議と居心地がいい。他の人のことなんて眼中にない人たちに囲まれると、壊れた心も健康な時のように動いてくれた。自分で稼いだお金で初めてかけてみたらハズレ券になる。休職中のわたしはそれ以降かけずに予想だけ。何もわからないズブの素人なのに「波が立つからあれかな?」とか「ターンがうまい気がする」など失礼極まりないことを心の中で呟きながら観戦。時間を忘れて楽しんだ。大人になったんだから、自分で競艇場グルメを楽しんでもいいのに、何故かそんな気持ちになれない。未だにあの時の100円で何時間も、床に舟券が散らばっただだっ広い空間に意味もなくはしゃいでいた自分がいるようで面白い。入場口入ってすぐ、見上げるとみえるあの託児施設。その時は誰もいなかった。

 もし、たっくんが成長して何かに躓いたら、競艇場に連れて行ってあげたい。普段なかなか会えない人種の人がたくさんいて、たまに芸能人なんかもいて、自分の悩みなんてもしかしたらすごく狭い世界のことなのかもって思わせてくれる場所。大人の遊び場。100円で不思議な世界を垣間見せてくれる場所。お安い買い物ですよ!




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