熊手かき

読書好きの日常

書を読むということ 「特に深刻な事情があるわけではないけれど私にはどうしても逃避が必要なのです」

 読了しました。私は逃避をよくする。旦那に帰りたくありませんとはっきり伝えて喫茶店で1人ぼんやりしたり、思いのたけをバーっと書き綴ったり。家に帰って1人になりたいんじゃなくて、誰も知らない人の中で1人になりたい。逃避先は本屋だったりもする。ひたすら読みたい本を探してメモして図書館で検索する。私は旦那が大好きだけれど、でも、逃避しなければならない日があるんだ。というわけで手に取ってみた1冊です。

 前向きに生きる、人づき合い、家庭、仕事、世間、日常、良識、孤独、貞操、夢を叶える、運命からの逃避と人生からは逃げたくないの12章からなる名言集です。名言集とともに著者の簡単な説明で構成されています。映画とエッセイから取られた言葉は優しく慰めてくれるものからざっくり斬られるようなものまで幅広く収められています。

 前向きに生きる。ありのままで生きる。それは確かに大事なことだとは思う。でも人には一瞬でも逃げる時間が必要なことがある。でもそれを後押ししてくれる人は以外と少ない。そっとしてくれたり放っておいてくれたり、それが必要なことだって確実にあるのに人は以外とそれができない。なぜだろう。心配だから?放っておくのが薄情な気がするから?自分が不要な存在に思えるから?でも、大切だからこそ一緒にいられないと思うこともあると思う。説明なんてできない。ただ、そこにいたくないだけだから。傷つけたくないからいられないということもあると思う。少なくとも私はそういう人間だ。

 この本にはそれで良いんだという一押しをもらえた気がした。自分でいるために逃避しても良い。斬られながら、慰められながら私はそっと支えられた気がした。特にこれからの自分には「子どもを傷つけないでいられる母親なんていないのです」という言葉が大事になると思いました。完璧な母親からの逃避。それで良いと思えたら子供が生まれてからの自分はどれだけ救われるだろう。どんなに頑張ってもそれが現実だと突き抜けられたら私は笑顔でいられて、きっと子供も笑顔になれる、そんな気がします。

 息苦しくて、でも無理やり戦っている人にオススメの本です。ただ、前提として生きろ!があるのは忘れてはダメです。生きてるから逃げるのです。生きるために逃げるのです。そこは間違えてはダメですから。