熊手かき

読書好きの日常

書を読むということ 「セシルのもくろみ」

 改札前、ふと気づくと赤い口紅を塗った女性の絵。そして現れる真木よう子さん。「セシルのもくろみ」。それは夏クールのドラマの宣伝。ネットで調べたらそれが唯川恵さん原作のドラマだと知った。唯川恵さんは昔よく読んだな。それに好きな女優さんがたくさん出てる。気になるな、読もうかな?と悩んだ末kindleでお買い上げしました。本当は紙の本が良かったけど、もう冊数増やせないので。

 

 奈央は専業主婦の自分に満足をしていた。子供も中学生になり手が離れたので何か始めようか。そう思っていた矢先に同窓会で会った友人から連絡が来る。「一緒に読者モデルに応募しない?」。戸惑いつつも応募した奈央。落ちると思っていたオーディションに受かり喜んだのもつかの間、撮影のたびに思い知らされる現実。来ていく服がない。毎回スタイリストに用意される洋服や小物。読者モデルの中で、私は最下位。そんな奈央がモデルの世界で成長していく物語。

 

 雑誌「STORY」で連載されていた小説だそうですね。私の中ではアラフォー雑誌の中では庶民的ってイメージです。いや、勝手なイメージですけどね。作中登場するミーナさんの素敵な奥さんでモデルってなんだかイメージに合うなと思った。もちろんそこはそれ、ミーナさんにも色々あるんですけどね。基本的な筋書きはお約束通りです。ちょっと冒険はありますがど定番。「プラダを着た悪魔」を少し思い出しました。平凡だった女性が変身していく物語。乗り越え方が違いますけどね。編集長とのそれは通過儀礼だと思う。モデルとして覚悟を決めるためには必要なこと。そんなの必要ないやって思う人もいるでしょうが、わたしは必要だと思います。奈央にとってモデルになるということは1人の人間になることでもあるから。家族という世界から羽ばたいた証というか。だからラストはずいぶんモデルっぽくなってた。奈央らしくないといえばないけど、彼女はきっとミーナさんのようなモデルになるんだろうと思わせてくれる。

 奈央はわたしから見ると持ってる人です。奈央は持ってないと思ってるけど、十分持ってる人。ローンはあるけどマンション持ってて、子供は私立で、お昼からハーブティとか飲んでる。十分持ってるでしょ。とか思うのはわたしが共働き主婦だからでしょうか?好きで働いてるけど、専業主婦にはモヤモヤする思いはある。それは本当の話。

 

 「セシルのもくろみ」、読んでから見ることになります。すでに奈央が読者モデルになるところが原作と違うらしい。どんなドラマに仕上がるのか。たのしみです。

 

セシルのもくろみ (光文社文庫)

セシルのもくろみ (光文社文庫)