熊手かき

読書好きの日常

仕事が好きだ

 わたしは仕事が好きだ。リウマチという持病があるから尚更仕事に励んだ。持病というハンデがあるから人の倍働いてナンボだ!と思っていたので、必死に働いた。で、本当に人の倍働けるくらいになった。でも会社はあまり好きではなかったから、どうしても定時に上がりたくて、とにかく工夫した。どうしたら早く仕事をこなせるか、自分に何を足したらより効率化が図れるのか。日々努力して、時にご飯を抜いて一心不乱に働いて定時に帰った。自分の売りはスピードとアフターフォローだと思ったので、そこに磨きをかけようと色々試したし担当者によって仕事の仕方も変えた。

 その努力が実って、時に指名されるようになった。負けるもんかの一心でやって来たかいがあったと心底嬉しかった。自分のミスで反省し、謝り、学び、人のミスでまた学び。だからストレスも半端なかった。自分の仕事が怖くて仕方ないことも少なくなかったし。自分の成果で概算の金額が決まる。ミスをしたら何百万の赤字だったり、信用を失ったり。だから、きちんと自分が納得できる仕事を心がけた。説明できる仕事。なんとなくとかいつもだいたいこうだからとかじゃなく、言い切りで説明できるように責任を持って仕事をした。当たり前のことなんですけどね。それが意外に難しい仕事なんです。
 仕事のしすぎとストレスでメンタル壊して1ヶ月休職することになった。その時も抱えている案件を仕上げるまで必死で会社に通い続けた。仕事をあげた日、わたしは泣きながら「もう会社にいられない」と呟いた。カウンセリングに通い、心療内科に通い、なんとか復帰してみたけれどギリギリの毎日。朝会社に行きたくないと心が叫ぶけれど、無理やり起こして会社に行った。で、朝の挨拶だけして帰った。あの時、心のままに休んでいたら会社を辞めていたと思う。負けたくない精神だけで必死に通った。ですが壊れているのに無理したから、ある日もうダメですと再度休職。心療内科ではなく精神科に通い3カ月休職した。
 毎日戦っていた、自分とも他人とも。勝てなくてもいい、負けたくない!それだけで復職。周りに何を言われていたか知らない。興味を持たれていなかったかもしれない。でも、わたしは1人で戦った。戻って来て、もう失うものは何もないんだって思えるようになって少しずつ変わっていった。結婚して、さらに前に出て仕事をすることを学んだ。より良いものを生み出したい。そのために、たくさんの人に失笑されながら教わることも少なくなかった。失った信用をまた取り戻したいと今までとは違う方法を取り始めた。そして少しずつ信用を取り戻し始めた時妊娠、出産。
 わたしは仕事が好きだ。だから今の状況は正直不本意。たっくんメインの生活はわたしから仕事を奪ってしまう。それもまた幸せなんだとは思うけれど、必死に積み上げて来たものをそうそう手放せない。親には「なぜ子供を産んだのか?」と聞かれることがある。仕事が好きなら子供は諦めるべきだったと。そうかもしれない。いつか破綻するかもしれない。でも、これもまた試練。新しい仕事人としての自分の進化の過程だと思っている。もちろん、簡単には割り切れない。旦那とそれで喧嘩にもなる。わたしは仕事がしたいんだ!と大きな声で叫びたくなることも少なくない。耐えられないとたっくんをモヤモヤした目で見ることもある。
 女性は2択だ。仕事か子供か。両方をうまくこなす人もいるけれど、わたしには難しい。だから恨んでしまう、旦那を。わたしの仕事を返せと。「たっくんを巻き込むな!」と両親にはこっぴどく叱られた。ごめんねとは思うけれど、モヤモヤは止められない。止まらない。ごめんね、たっくん。わたしは仕事が好きなんだ。こんなママでごめんね。