熊手かき

読書好きの日常

野良猫との不思議な交流

今週のお題「犬派? 猫派?」 

 私は断然猫派だ。何故か。彼らが自由だからだ。いたい時にいて、いたくない時は見向きもしない。わかりやすい、本当にわかりやすい動物。だからこそ、すりすりしてきた瞬間の幸せったらない。この野郎、可愛いじゃないかとデレデレしちゃう。

 もう10年くらい前の話。独り暮らしをしていた時、実家から家に帰る途中に野良猫の溜まり場があった。夜遅く通ると片耳に三角の切れ込みが入った猫がいつも塀の上に座っていた。その子だけ切り込みが入っている。もしかしたら去勢した印だったのかもしれないけれど、その時は野良を識別する唯一の方法だ!と純粋に嬉しかった。他の猫が逃げ回る中、その子だけは逃げずに塀の上にじっとしている。

 ある日勇気を出して手を伸ばしてみた。手を出してくるけど逃げずに遊ばせてくれる。なんだ、この子、優しい!その日からその子をみどりと名付けて遊び始めた。微妙な距離を取りみどりと見た月の夜はとても幸せだった。引っかかれた時もあるけど、微妙な距離は必要としたけど、野良猫との間にできるちょっとした絆は人のそれより優しい。不思議です。

 独り暮らしを止め、結婚した私はもうみどりと会うことはない。でも、みどりと見た月の明るさは多分一生忘れない。向こうにとっては気まぐれだろうけれど、私にとっては何よりも大切な宝物だ。