熊手かき

読書好きの日常

今はなきエログロナンセンスの大博覧会

「 衛生博覧会を求めて」読了。荒俣氏をして日本版衛生博覧会の資料は探しづらいらしい。どちらかというとメインは各国の衛生博覧会の歴史。模型はどう作られたのか、模型の歴史や解剖の歴史が語られる。昔、芸術は解剖が不可欠要素だったと初めて知りました。人体の構成を知ってこその絵画。もちろん現在も解剖学から見た人体の描写の仕方の本があるのは知ってたけど、そこまで関係が深かったのは意外でした。

 人体模型の写真も少なくなく、実際に荒俣氏が見てきた衛生博覧会の写真もがっつり収められています。スペコラ美術館の模型の本はその昔アマゾンで買って大事に見てたけど、それ以上に俗っぽい。シュピッツナーの展示模型は一部女子供は禁制の部屋があるそうな。性病に罹った性器と顔面の模型のお部屋。かなりえげつないみたい。でも、そこが見たいのに!

 その昔人体の不思議展という展示会が開かれた。人の人体標本が展示されたその会は賛否両論撒き散らしながら日本中を巡回してた。病変や奇形の標本はなかったけれど、これも簡易衛生博覧会だったのかな?

 今回、念願叶って読めた本は想像以上に学術的で、もっとエログロなのかと思った私には若干肩透かし。でも写真や図譜で衛生博覧会が垣間見えたのは幸せだった。いきなりマダムタッソーの名前が現れたのはびっくりだけどね。ヨーロッパでは稀に当時の蝋人形や模型が展示されることがあるらしいので、もし、もし機会があったら見に行きたい。その前にスペコラ美術館行ったほうが早いかもしれないけど。でも私が見たいのは梅毒に侵された患部なので難しいですね。